「説明」の言い換え
「説明」は話し手の行為だけを指す語で、相手が何を分かればよいのかを含みません。そのため「ご説明いたします」と書いても、知らない事実を渡すのか、判断の理由を示すのか、非を問われたことに答えるのかが決まらないまま文章が始まります。「説明してください」と求められる場面には、情報が足りていない場合、納得していない場合、責任の所在を確かめたい場合の三通りがあり、どれかを読み違えると、丁寧に書くほど相手をいらだたせる結果になります。
場面で選ぶ言い換え 7選
| 言い換え | 相手・場面 | ニュアンスと使いどころ |
|---|---|---|
| 解説 標準 | 社内・顧客 | 仕組みや背景を分解して示す。相手に知識がないことが分かっている場面で使える 避ける場面:相手が事実関係の確認を求めているとき。知識の差を指摘した形になる |
| 趣旨 改まった場面 | 取引先・上司・社内 | 何のためにそれを行うのかという狙い。相手が納得しないのは事実より狙いが見えないときが多い 避ける場面:手順を知りたいと言われているとき。目的だけを述べても作業が進まない |
| 内訳をお示しする 改まった場面 | 取引先・顧客・上司 | 数字の中身を分解して並べる。費用や工数への疑問には、文章より内訳が効く 避ける場面:判断の理由を問われているとき。数字の分解では答えにならない |
| 釈明 改まった場面 | 取引先・上司 | 誤解されている点について、こちらの事情を述べる。非を認めていない場面で使う 避ける場面:非が明らかな場面。言い逃れとして受け取られる |
| 明示する 改まった場面 | 取引先・社内・顧客 | 条件や基準を、解釈の余地なく文面に書ききる。説明を尽くすより、書ききるほうが早い場面に 避ける場面:判断の理由を伝えたいとき。条件を並べても、なぜそう決めたかは伝わらない |
| 開示 改まった場面 | 取引先・顧客 | 求めに応じて情報そのものを出す。契約や監査の文脈で、範囲を決めて出す行為 避ける場面:相手が要点の整理を求めているとき。資料を渡しただけになる |
| 図解 標準 | 社内・取引先・顧客 | 関係や順序は、文章より図のほうが速く正確に伝わる。誰から誰へ何が動くかを一枚にする 避ける場面:判断の理由や経緯。図では因果を書き分けにくい |
そのまま使えるメール例文
費用への疑問に、文章ではなく内訳で答える
株式会社サンプル商事
田中様
お世話になっております。山田です。
お見積金額についてお問い合わせをいただき、ありがとうございます。
合計380万円の内訳をお示しいたします。
設計が120万円、開発が180万円、試験と移行が60万円、管理費が20万円でございます。
前回のお見積から40万円増えておりますのは、
追加でご要望をいただいた帳票2種の開発分にあたります。
項目ごとの工数表も添付しております。ご不明な点をお聞かせいただけますでしょうか。
誤解されている点について、非を認めずに事情を述べる
株式会社サンプル商事
田中様
お世話になっております。山田です。
検収の遅れについて、弊社の作業が原因とのご指摘をいただきました。
事実関係を整理してお伝えいたします。
弊社の納品は4月18日で、契約書に定めた期日である4月20日の前でございます。
その後の検収作業につきましては、貴社側での試験環境のご準備を4月25日まで
お待ちしている状況でした。当該の経緯はメールの履歴にも残っております。
認識に相違がございましたら、お手数ですがご指摘いただけますでしょうか。
社内へ、新しい制度の狙いから先に述べる
営業部各位
お疲れさまです。山田です。
6月から始まる日報の様式変更について、まず趣旨からお伝えします。
狙いは、訪問件数ではなく商談の段階を見えるようにすることです。
これまでは件数だけが残っており、どの案件が止まっているのかを
本人以外が把握できませんでした。
新しい様式では、案件ごとに段階と次の行動を書いていただきます。
記入例を添付しておりますので、6月2日の入力からご確認ください。
前提知識のない相手に、仕組みを分解して伝える
お客様各位
平素より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
7月からの料金体系の変更について、計算の仕組みを解説いたします。
新しい料金は、基本料金と従量料金の合計で決まります。
基本料金は契約の口数に応じた固定額で、月あたり1口3,000円でございます。
従量料金は、月間の処理件数が1,000件を超えた分についてのみ、
1件あたり5円を加算する形となります。
具体的な計算例を添付の資料にまとめております。ご確認くださいますようお願いいたします。
使わないほうがよい言い換え
置き換えれば丁寧になるとは限りません。次の表現は実際に誤用として指摘されることが多いものです。
説明不足で申し訳ありません
詫びの形をとりながら、非を自分の説明の仕方だけに限定する言い方になります。判断や作業そのものに誤りがあった場面でこれを使うと、受け取った側には論点をずらされたと映ります。説明の仕方に問題があったのであればそのとおりに書き、判断に誤りがあったのであれば「判断を誤りました」と、対象を取り違えずに書いてください。
ご理解いただけましたでしょうか
相手の理解力を確かめる形になるため、目上や取引先に向けると角が立ちます。加えて「いいえ」と答えにくい問いなので、分かっていなくても「はい」が返ってきます。「ご不明な点はございますでしょうか」「補うべき点があればお聞かせください」と、こちらの説明に不足がないかを尋ねる形に替えると、実際の疑問が出てきます。
前回ご説明したとおりです
伝えた事実は残りますが、相手が納得していない場面では対立を深めるだけです。同じ内容を繰り返しても結果は変わりません。「どの部分で認識が分かれているかを確かめさせてください」と、ずれている箇所を特定する方向へ切り替えるほうが早く収まります。
弁明(事実関係が固まる前に使う)
「弁明」は自分に落ち度があるという前提を含む語です。調査が終わっていない段階で「弁明いたします」と書くと、非を認めたうえで理由を述べていると読まれます。事実を確かめている途中であれば「経過をご報告いたします」、誤解を解きたいのであれば「事実関係を整理してお伝えいたします」が実態に合います。
「説明」を使った文章を、相手に合わせて直す
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よくある質問
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はい。登録もログインも不要で、すぐにお使いいただけます。要約は1日1回、1回あたり5,000文字まで無料です(日本時間の0:00にリセットされます)。参考文献ジェネレーターは回数制限なく何度でも無料でお使いいただけます。クレジットカードの登録は必要ありません。
「釈明」と「弁明」はどう違いますか?
前提が違います。「釈明」は誤解されている点について、こちらの事情を述べることで、
自分に非があるとは限りません。
「弁明」は落ち度を問われた場面で、その理由を述べることを指し、非がある前提を含みます。
どちらも硬い語なので、社内の日常のやり取りでは「事実関係を整理してお伝えします」で足ります。
「説明してください」と言われたとき、何から書けばよいですか?
相手が何を知りたいのかを先に見立ててください。
日程や数字を知りたいだけなら、事実を一行で書けば終わります。
判断に納得していないのであれば、なぜその選択をしたかという理由が要ります。
責任を確かめたいのであれば、誰がいつ何を決めたかという事実の並びが要ります。
迷ったら「どの点についてお答えすればよいか」を尋ねるほうが、長文を書くより早く済みます。
「ご説明」と「ご案内」はどう使い分けますか?
「ご案内」は相手が困らないように道筋を示すことで、上下の構図を作りません。
「ご説明」は内容を理解してもらうことに重心があり、知識の差を前提にします。
催しや手続きの通知であれば「ご案内」、仕組みや理由を分かってもらう必要があれば「ご説明」がなじみます。
説明が長くなってしまうときはどうすればよいですか?
文章で書ける量には限りがあるので、内訳や図に逃がすのが実務的です。
金額と工数は表、関係と順序は図にすると、本文は数行で済みます。
それでも長くなる場合は、相手が知りたいこと以外を書いている可能性が高いので、
一度「相手が次に何を決めるのか」を考えて、判断に使わない部分を落としてください。
「説明責任」という言葉は社内文書で使えますか?
使えますが、重い語です。もともとは組織が社会に対して負う責任を指す文脈で使われてきた言葉で、
個人に向けて「説明責任がある」と書くと、糾弾の色が出ます。
社内では「経緯を記録に残す」「判断の理由を書き添える」のように、
具体的な行為で示すほうが実行に移せます。
専門用語はどこまでかみ砕くべきですか?
相手がその語を使って考えられるかどうかが目安です。
言葉を知っているかではなく、それを前提に判断できるかで決めてください。
すべてを言い換えると文章が長くなるので、
判断に直結する語だけを初出の箇所で一行補い、それ以外はそのまま使うと読みやすくなります。
注釈を並べるより、相手が使い慣れた言葉に置き換えるほうが速く伝わります。
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