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「検討する」の言い換え

「検討する」は本来、複数の材料を比べて判断するという中立な語です。ところが商談の場で角を立てずに断るための言葉として使われてきたため、受け取る側は「検討します」を断りの合図として読む習慣を持っています。本当に検討している場合でも、誰がいつ何を判断するのかを書かなければ、断りとして処理されてしまいます。

場面で選ぶ言い換え 7選

言い換え相手・場面ニュアンスと使いどころ
精査いたします
標準
取引先・社内細部まで確かめることを示す。数字や条件など、確かめる対象がある案件で使うと作業が想像できる
避ける場面:方針そのものを決める場面。細部を見る話にすり替わる
決裁を仰ぎます
標準
取引先・社内判断する人が自分ではないことを明かす。相手はいつ答えが出るかを逆算できる
避ける場面:自分に決裁権がある案件。責任を回避したように見える
稟議にかけます
標準
取引先・社内社内の決裁手続きに乗せたことを示す。見送る案件をわざわざ稟議に上げることは少ないため、前進の合図として読まれる
避ける場面:稟議の制度がない相手。何が起きているのか伝わらない
5月20日までにご回答いたします
改まった場面
取引先・顧客判断の中身ではなく期限だけを約束する。断りと読まれないためのもっとも短い方法
避ける場面:期限を自分で決められない案件。守れなければ信頼を損なう
前向きに進めたく存じます
改まった場面
取引先結論はまだでも、進める意思があることを先に伝える。条件の詰めに入る前置きとして働く
避ける場面:見送る可能性が高い案件。期待させたぶん断りが重くなる
一度持ち帰らせてください
標準
取引先・社内その場で答えないことを正直に伝える。商談や会議の口頭のやり取りに向く
避ける場面:メールでの返信。持ち帰る先も期限も見えず、時間だけが延びる
判断に必要な情報を伺えますでしょうか
改まった場面
取引先検討が止まっている理由を相手に返す。相手が動けるので、案件が滞留しない
避ける場面:情報がそろっているのに決めきれないとき。相手に責任を移す形になる

そのまま使えるメール例文

提案を受けて、社内の判断時期を伝える

株式会社サンプル商事
田中様

お世話になっております。山田です。

本日ご提案いただいた保守プランにつきまして、社内で精査いたします。
次回の予算会議が5月20日(月)にございますので、その場で決裁を仰ぎ、
同日中にご回答いたします。

あわせて、初年度の費用に含まれる作業範囲の一覧をお送りいただけますでしょうか。
よろしくお願い申し上げます。

進めたい意思を先に示して条件の詰めに入る

佐藤様

お世話になっております。山田です。

先日の打ち合わせでご説明いただいた内容につきまして、前向きに進めたく存じます。
本日、稟議にかけました。決裁は5月24日(金)に下りる見込みです。

決裁後すぐに着手できるよう、契約書の草案を先にご共有いただけますと助かります。
引き続きよろしくお願い申し上げます。

検討が止まっている理由を相手に返す

鈴木様

お世話になっております。山田です。

お見積りの件、社内で確認を進めておりますが、判断に必要な情報を伺えますでしょうか。
具体的には、月間の処理件数が想定を超えた場合の追加費用と、
契約期間中に解約した場合の取り扱いの2点です。

この2点が確定しましたら、5月28日(火)までに可否をお伝えいたします。
お手数をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。

検討の結果、見送ることを伝える

高橋様

お世話になっております。山田です。

ご提案いただいた新システムの導入につきまして、社内で検討した結果をお伝えいたします。
機能面での評価は高かったものの、今年度の予算枠に収まらないため、今年度の導入は見送ることといたしました。

貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
来年度の予算編成は10月に始まります。その時期に改めてご相談させてください。

使わないほうがよい言い換え

置き換えれば丁寧になるとは限りません。次の表現は実際に誤用として指摘されることが多いものです。

検討します(期限も判断者も示さずに返信する)

この形は断りの定型として広く共有されているため、本当に検討していても断りとして処理されます。相手は追いかけてこなくなり、こちらが決裁を取ったころには他社に決まっていた、ということが起こります。「5月20日までにご回答いたします」と、期限だけでも添えてください。

検討させていただきます

検討するのに相手の許可は要らないため、「させていただく」の形が空回りします。文化庁の『敬語の指針』は、この形を「相手側または第三者の許可を受けて行い、そのことで恩恵を受ける」場合の言い方だと整理しています。丁寧にしたいだけであれば「検討いたします」で足ります。

検討中です(前回と同じ文面のまま繰り返す)

2回目以降は、進んでいないことの通知になります。相手は待たされている理由が分からないまま時間だけを失います。「先週の時点から、経理の確認が加わりました。5月24日には結論が出ます」のように、前回からの差分と、次に何が起きるかを書いてください。

検討させていただきましたが(断りの前置きに使い、何を見たか書かない)

断りの文の前に置くだけで、実際には何をどこまで見たのかが伝わりません。相手は次の提案に活かせず、同じ内容で再提案してくることもあります。「機能面は評価しましたが、今年度の予算枠に収まりませんでした」と、通った点と通らなかった点を分けて書くほうが、相手にとっても自社にとっても得になります。

「検討する」を使った文章を、相手に合わせて直す

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よくある質問

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「検討します」は断りという意味ですか?

語そのものに断りの意味はありませんが、断りとして使われてきた歴史があるため、実務ではそう読まれます。

本当に検討している場合は、その旨を語で伝えるのではなく、期限と判断者を書いて示してください。

「社内で精査し、5月20日までにご回答いたします」のように書けば、断りと読まれる余地はなくなります。

相手から「検討します」と言われたら、断られたと考えるべきですか?

断定はできませんが、期限も判断者も示されていない場合は、可能性が高いと考えて動くのが安全です。

その場で「いつごろご回答いただけますでしょうか」と期限だけ尋ねると、相手も答えやすく、こちらも見込みを整理できます。

期限を示されなかった場合は、他の案件に力を振り向けたうえで、区切りのよい時期に一度だけ確認するのが現実的です。

「前向きに検討します」はなぜ避けたほうがよいのですか?

「前向きに」が付くと、社交辞令としての色が濃くなるためです。

本当に進めたいのであれば、意思を述べるより手続きを述べるほうが伝わります。

「稟議にかけました。決裁は5月24日に下ります」と書けば、前向きであることは説明しなくても分かります。

「検討」と「精査」「協議」はどう使い分けますか?

対象と人数で分かれます。

「精査」は数字や条件など、確かめる対象があるものを細かく見ること、

「協議」は複数の当事者で話し合って決めること、「検討」はその両方を含む広い語です。

広い語ほど何をしているかが伝わらないので、実際にしていることが精査なら精査と書くほうが具体的です。

すぐに判断できない場合、何と返せばよいですか?

判断できない理由を書きます。

決裁待ちなら「決裁を仰ぎます」、情報が足りないなら「判断に必要な情報を伺えますでしょうか」と、

止まっている場所を名指しすると、相手は待つべきか動くべきかを決められます。

理由を書かずに「検討中です」とだけ返すと、待たされている側には断りとの区別がつきません。

断ると決めた場合は、いつ伝えるべきですか?

決まった時点ですぐに伝えます。

相手は返事を待つあいだ、こちらのために時間を空けていることが多いためです。

断りの連絡では、理由を1点だけでも具体的に書くと、次の機会につながります。

「予算枠に収まらなかった」「稼働開始時期が合わなかった」など、条件の話にすると角も立ちません。

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